売上・単価・価値はどう決まるのか|コンサルとしての転換点
この記事は「中小企業診断士の独立リアル」シリーズの第3回です。
■ はじめに

第1回では、なぜ独立したのか。
第2回では、独立直後にぶつかったリアルな課題についてお伝えしました。
👉 うまくいかないことの連続の中で、
- 仕事は自分で取りに行くもの
- 行動量が必要
- 動き続けることが大切
ということを学びました。
では、その次にぶつかる壁は何か。
それが、
👉 「いくらで仕事をするのか?」
という問題です。
独立すると、仕事を取るだけでは足りません。
その仕事を、
- どのような価値として提供するのか
- どの水準の責任で引き受けるのか
- その対価をどう考えるのか
ここまで自分で決める必要があります。
今回は、売上・単価・価値に対する考え方がどう変わったのか。
そのリアルをお伝えします。
■ 最初の価格設定は「なんとなく」だった

独立当初、よく聞かれる質問があります。
「月額いくらでお願いできますか?」 「この内容だと、どのくらいの費用ですか?」
そのときの自分の答えは、
👉 「このくらいでいいかな…」
という、非常に曖昧なものでした。
今思えば、価格を決めていたというより、
相手の反応を見ながら、恐る恐る言っていた
という方が正確です。
● なぜ安く言ってしまうのか
理由はシンプルです。
- 自信がない
- 相場が分からない
- 断られるのが怖い
この3つです。
特に、
👉 「まだ実績が少ないから」
という気持ちが強く、
本来の価値よりも低く提示してしまうことがありました。
独立したばかりの頃は、
「まずは実績を作らないといけない」 「高いと言ったら断られるのではないか」 「安くしてでも受けた方がいいのではないか」
と考えがちです。
私もまさにそうでした。
● 結果として起きること
しかし、この状態には問題があります。
- 安くても仕事が爆発的に増えるわけではない
- 1件あたりに使える時間が減る
- 目の前の対応に追われる
- 本来考えるべき提案や設計に時間が使えない
そして何より、
👉 自分自身が疲弊していく
ということに気づきました。
価格を下げれば相手に喜ばれる。
そう思っていたのですが、実際には違いました。
安く受けることで、
- こちらの準備時間が削られる
- 深い分析ができない
- 提案の質が上がらない
- 結果として、お客様への貢献も薄くなる
こうなると、誰のためにもなりません。
■ 大きな気づき|売上=お役立ち度

ある時、考え方が大きく変わるきっかけがありました。
それが、中小企業診断士の山下益明先生から教わった、
👉 「売上=お客様へのお役立ち度」
という考え方です。
売上は、こちらが一方的に取りにいくものではありません。
相手に価値を感じてもらい、役に立った結果として生まれるものです。
そう考えると、単価の問題は単なる値付けの話ではなく、
👉 「自分は何を提供しているのか」
という本質の話になります。
● 高い=悪いではない
それまでの自分は、
- 高い価格を提示する=申し訳ない
- 安い方が喜ばれる
- 値段の話はしにくい
どこかでそう思っていました。
しかし実際は逆でした。
👉 価値があれば、適正な対価は受け取るべき
安くすることが誠実なのではありません。
むしろ、価値に見合わない安さは、
- 提供の継続性を損なう
- 支援の質を下げる
- 自分の責任範囲を曖昧にする
という問題を生みます。
● プロとしての責任
むしろ大切なのは、
- 価値に見合った価格を設定する
- その価格に対して責任を持つ
- 提供範囲を明確にする
ことです。
👉 「安いからお願いする」ではなく
👉 「価値があるからお願いする」
この状態を作る必要があると考えるようになりました。
これは、コンサルタントだけの話ではありません。
中小企業の経営でも同じです。
安売りを続けると、売上が苦しくなるだけでなく、
- 利益が残らない
- 人に投資できない
- サービス品質が上がらない
- 結果として価格競争から抜け出せない
という状態に入りやすくなります。
つまり、
👉 単価の話は、経営そのものの話
でもあるのです。
■ 営業に対する考え方が変わった

ここでもう一つ、大きな変化がありました。
それは、
👉 「営業」に対する考え方です。
● 以前の考え
以前の私は、どこかでこう思っていました。
- 営業はがめつい
- 売り込むのは良くない
- 本当に価値があるなら自然に選ばれるべき
この感覚は、独立前からずっとありました。
特に専門職ほど、
「営業しなくても選ばれるべき」 「良い仕事をしていれば分かってもらえる」
と思いがちです。
● 今の考え
今は違います。
👉 営業とは、必要な人に必要な価値を届ける行為
です。
営業とは、
👉 「押し売り」ではなく「情報提供」
です。
どんなに良いサービスでも、
- 知られていない
- 伝わっていない
- 相手の課題と結びついていない
この状態では、存在していないのと同じです。
● なぜ営業が必要なのか
理由はシンプルです。
👉 知られていなければ、存在していないのと同じ
どれだけ価値があっても、
- 何をしてくれる人なのか分からない
- どんな相談ができるのか見えない
- 頼むと何が変わるのか伝わらない
これでは仕事にはつながりません。
だからこそ、
👉 適切に伝えることも価値の一部
だと考えるようになりました。
これは、今こうしてブログを書いている理由でもあります。
自分の考えや経験を発信することは、単なる情報発信ではありません。
「こういう課題なら相談してよさそうだ」
と感じてもらうための、大切な接点です。
■ 単価が上がると何が変わるか
価格を見直すことで、大きく変わったことがあります。
● ① 支援の質が上がる
単価が上がると、
👉 1社に使える時間が増えます
結果として、
- 事前準備ができる
- 数字を丁寧に見る
- 本質的な課題を整理する
- 表面的ではない提案ができる
ようになります。
つまり、価格を見直すことは、単に売上を増やすためではなく、
👉 支援の質を上げるため
でもあります。
● ② お客様の本気度が変わる
もう一つ重要なのが、
👉 お客様側の姿勢の変化
です。
本気で改善したい。 本気で変わりたい。 行動に移したい。
こうした企業との関係が増えていきます。
もちろん、価格が高ければいいという話ではありません。
大切なのは、
👉 価値と覚悟が一致していること
です。
適正な対価を払っていただくことで、こちらも本気で向き合う。
相手も本気で取り組む。
この関係性ができると、支援は深くなります。
● ③ 自分のスタンスが定まる
価格を決めることは、
👉 自分の価値を決めること
でもあります。
- どこまでやるのか
- 何を提供するのか
- 何を提供しないのか
- どこに責任を持つのか
これが明確になります。
価格設定が曖昧なときは、スタンスも曖昧です。
逆に、価格と提供価値が整理されると、
👉 「自分は何者として支援するのか」
がはっきりしてきます。
■ これは中小企業の価格戦略にも共通する
この話は、コンサルタントの独立話に見えるかもしれません。
しかし実際には、多くの中小企業にも共通しています。
たとえば、
- 値上げしたいが、取引先が怖い
- 安くしないと選ばれない気がする
- 自社の強みがうまく言語化できない
- 売上はあるのに利益が残らない
- 価格の根拠を説明できない
こうした悩みは、非常に多いです。
つまり、
👉 「単価をどう考えるか」=「自社の価値をどう定義するか」
ということです。
価格に悩んでいる企業の多くは、単に値付けに悩んでいるのではありません。
- 誰に
- 何を
- どういう価値として
- どの形で届けるのか
この整理が十分にできていないケースが少なくありません。
だからこそ、単価の見直しは「価格表の修正」ではなく、
👉 経営の整理そのもの
だと考えています。
■ 現在の考え方
現在は、
👉 「価値に対して適正な対価をいただく」
という考え方で仕事をしています。
顧問契約。 スポット支援。 セミナー。 補助金申請支援。
それぞれに対して、
👉 「どれだけ価値を提供できるか」
を基準に設計しています。
大切なのは、価格そのものではありません。
- 何を求められているのか
- どこまで伴走するのか
- どの成果に責任を持つのか
ここを明確にすることです。
■ 振り返って思うこと
独立直後は、
👉 「仕事をもらう」意識
が強かったと思います。
しかし今は違います。
👉 「価値を提供する」意識
に変わりました。
この違いは非常に大きいです。
「仕事をもらう」と考えると、相手に合わせすぎてしまいます。
「価値を提供する」と考えると、何を渡すべきか、どう役立つべきかを軸に考えられます。
すると、
- 提案の仕方
- 関わり方
- 価格の伝え方
- 契約の考え方
すべてが変わってきます。
そして結果として、
👉 仕事の質も、関係性も、売上の意味も変わる
ようになりました。
■ まとめ

独立して学んだ最も大きなことの一つは、
👉 「売上は結果であり、原因は価値である」
ということです。
- 安さではなく価値
- 数ではなく質
- 受け身ではなく主体
そして何より、
👉 「自分の価値をどう定義するか」
これが、すべての出発点になります。
価格に迷うときは、値段の問題に見えます。
しかし本当は、
- 誰に役立つのか
- 何を提供するのか
- どう変化を生み出すのか
という問いに向き合っているのだと思います。
■ シリーズを読んでくださった方へ
3回にわたって、独立のリアルをお伝えしました。
- 第1回:なぜ独立したのか
- 第2回:独立直後のリアル
- 第3回:価値と単価の考え方
独立は決して簡単ではありません。
しかし、
👉 行動すれば、必ず見えてくるものがあります。
そしてこれは、独立だけの話ではありません。
経営も同じです。
見えない課題は、行動しながらしか見えてきません。
価格の悩み。 売上の悩み。 強みの悩み。 事業の方向性の悩み。
それらは、頭の中だけでは整理しきれないことが多いものです。
■ 経営・事業のご相談について
このブログを読んで、
- 売上や利益の改善をしたい
- 自社の強みを整理したい
- 価格設定や単価の考え方に悩んでいる
- 補助金や事業計画について相談したい
- 経営の方向性を一緒に整理してほしい
そう感じられた方は、ぜひ一度ご相談ください。
👉 「まだ整理できていない段階」でも大丈夫です。
また、単発の経営相談だけでなく、継続的な伴走支援や顧問契約にも対応しています。
もし記事を読んで、
「自社も同じ状態かもしれない」 「一度整理した方がいいかもしれない」
と感じられたら、その感覚は大切です。
👉 まずはお気軽にご相談ください。
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✍️ この記事を書いた人
村田久(むらたひさし)
村田久中小企業診断士事務所 代表/中小企業診断士
約30年にわたり旅行会社に勤務し、法人営業・地域活性化・インバウンド・経営企画など多様な業務を経験。
2024年に独立し、熊本を拠点に中小企業の経営支援を行っている。観光・インバウンド・マーケティング・経営戦略・補助金申請を強みとする

