売上・単価・価値はどう決まるのか|コンサルとしての転換点

この記事は「中小企業診断士の独立リアル」シリーズの第3回です。

■ はじめに

第1回では、なぜ独立したのか。

29年の会社員人生から独立へ。中小企業診断士として踏み出した理由

この記事は「中小企業診断士の独立リアル」シリーズの第1回です。 このブログを書いているのは、熊本県を拠点に活動する中小企業診断士の村田久(むらたひさし)です。 観…

第2回では、独立直後にぶつかったリアルな課題についてお伝えしました。

独立直後のリアル|うまくいかないことの連続だった話

この記事の目次 ■ はじめに■ 独立したら仕事は来るのか?■ 最初に直面した3つの現実● 営業の電話・メールの多さに驚く● よく分からないままサービスに登録● 「仕事が来な…

👉 うまくいかないことの連続の中で、

  • 仕事は自分で取りに行くもの
  • 行動量が必要
  • 動き続けることが大切

ということを学びました。

では、その次にぶつかる壁は何か。

それが、

👉 「いくらで仕事をするのか?」

という問題です。

独立すると、仕事を取るだけでは足りません。

その仕事を、

  • どのような価値として提供するのか
  • どの水準の責任で引き受けるのか
  • その対価をどう考えるのか

ここまで自分で決める必要があります。

今回は、売上・単価・価値に対する考え方がどう変わったのか。

そのリアルをお伝えします。


■ 最初の価格設定は「なんとなく」だった

独立当初、よく聞かれる質問があります。

「月額いくらでお願いできますか?」 「この内容だと、どのくらいの費用ですか?」

そのときの自分の答えは、

👉 「このくらいでいいかな…」

という、非常に曖昧なものでした。

今思えば、価格を決めていたというより、

相手の反応を見ながら、恐る恐る言っていた

という方が正確です。

● なぜ安く言ってしまうのか

理由はシンプルです。

  • 自信がない
  • 相場が分からない
  • 断られるのが怖い

この3つです。

特に、

👉 「まだ実績が少ないから」

という気持ちが強く、

本来の価値よりも低く提示してしまうことがありました。

独立したばかりの頃は、

「まずは実績を作らないといけない」 「高いと言ったら断られるのではないか」 「安くしてでも受けた方がいいのではないか」

と考えがちです。

私もまさにそうでした。

● 結果として起きること

しかし、この状態には問題があります。

  • 安くても仕事が爆発的に増えるわけではない
  • 1件あたりに使える時間が減る
  • 目の前の対応に追われる
  • 本来考えるべき提案や設計に時間が使えない

そして何より、

👉 自分自身が疲弊していく

ということに気づきました。

価格を下げれば相手に喜ばれる。

そう思っていたのですが、実際には違いました。

安く受けることで、

  • こちらの準備時間が削られる
  • 深い分析ができない
  • 提案の質が上がらない
  • 結果として、お客様への貢献も薄くなる

こうなると、誰のためにもなりません。


■ 大きな気づき|売上=お役立ち度

ある時、考え方が大きく変わるきっかけがありました。

それが、中小企業診断士の山下益明先生から教わった、

👉 「売上=お客様へのお役立ち度」

という考え方です。

売上は、こちらが一方的に取りにいくものではありません。

相手に価値を感じてもらい、役に立った結果として生まれるものです。

そう考えると、単価の問題は単なる値付けの話ではなく、

👉 「自分は何を提供しているのか」

という本質の話になります。

● 高い=悪いではない

それまでの自分は、

  • 高い価格を提示する=申し訳ない
  • 安い方が喜ばれる
  • 値段の話はしにくい

どこかでそう思っていました。

しかし実際は逆でした。

👉 価値があれば、適正な対価は受け取るべき

安くすることが誠実なのではありません。

むしろ、価値に見合わない安さは、

  • 提供の継続性を損なう
  • 支援の質を下げる
  • 自分の責任範囲を曖昧にする

という問題を生みます。

● プロとしての責任

むしろ大切なのは、

  • 価値に見合った価格を設定する
  • その価格に対して責任を持つ
  • 提供範囲を明確にする

ことです。

👉 「安いからお願いする」ではなく
👉 「価値があるからお願いする」

この状態を作る必要があると考えるようになりました。

これは、コンサルタントだけの話ではありません。

中小企業の経営でも同じです。

安売りを続けると、売上が苦しくなるだけでなく、

  • 利益が残らない
  • 人に投資できない
  • サービス品質が上がらない
  • 結果として価格競争から抜け出せない

という状態に入りやすくなります。

つまり、

👉 単価の話は、経営そのものの話

でもあるのです。


■ 営業に対する考え方が変わった

ここでもう一つ、大きな変化がありました。

それは、

👉 「営業」に対する考え方です。

● 以前の考え

以前の私は、どこかでこう思っていました。

  • 営業はがめつい
  • 売り込むのは良くない
  • 本当に価値があるなら自然に選ばれるべき

この感覚は、独立前からずっとありました。

特に専門職ほど、

「営業しなくても選ばれるべき」 「良い仕事をしていれば分かってもらえる」

と思いがちです。

● 今の考え

今は違います。

👉 営業とは、必要な人に必要な価値を届ける行為

です。

営業とは、

👉 「押し売り」ではなく「情報提供」

です。

どんなに良いサービスでも、

  • 知られていない
  • 伝わっていない
  • 相手の課題と結びついていない

この状態では、存在していないのと同じです。

● なぜ営業が必要なのか

理由はシンプルです。

👉 知られていなければ、存在していないのと同じ

どれだけ価値があっても、

  • 何をしてくれる人なのか分からない
  • どんな相談ができるのか見えない
  • 頼むと何が変わるのか伝わらない

これでは仕事にはつながりません。

だからこそ、

👉 適切に伝えることも価値の一部

だと考えるようになりました。

これは、今こうしてブログを書いている理由でもあります。

自分の考えや経験を発信することは、単なる情報発信ではありません。

「こういう課題なら相談してよさそうだ」

と感じてもらうための、大切な接点です。


■ 単価が上がると何が変わるか

価格を見直すことで、大きく変わったことがあります。

● ① 支援の質が上がる

単価が上がると、

👉 1社に使える時間が増えます

結果として、

  • 事前準備ができる
  • 数字を丁寧に見る
  • 本質的な課題を整理する
  • 表面的ではない提案ができる

ようになります。

つまり、価格を見直すことは、単に売上を増やすためではなく、

👉 支援の質を上げるため

でもあります。

● ② お客様の本気度が変わる

もう一つ重要なのが、

👉 お客様側の姿勢の変化

です。

本気で改善したい。 本気で変わりたい。 行動に移したい。

こうした企業との関係が増えていきます。

もちろん、価格が高ければいいという話ではありません。

大切なのは、

👉 価値と覚悟が一致していること

です。

適正な対価を払っていただくことで、こちらも本気で向き合う。

相手も本気で取り組む。

この関係性ができると、支援は深くなります。

● ③ 自分のスタンスが定まる

価格を決めることは、

👉 自分の価値を決めること

でもあります。

  • どこまでやるのか
  • 何を提供するのか
  • 何を提供しないのか
  • どこに責任を持つのか

これが明確になります。

価格設定が曖昧なときは、スタンスも曖昧です。

逆に、価格と提供価値が整理されると、

👉 「自分は何者として支援するのか」

がはっきりしてきます。


■ これは中小企業の価格戦略にも共通する

この話は、コンサルタントの独立話に見えるかもしれません。

しかし実際には、多くの中小企業にも共通しています。

たとえば、

  • 値上げしたいが、取引先が怖い
  • 安くしないと選ばれない気がする
  • 自社の強みがうまく言語化できない
  • 売上はあるのに利益が残らない
  • 価格の根拠を説明できない

こうした悩みは、非常に多いです。

つまり、

👉 「単価をどう考えるか」=「自社の価値をどう定義するか」

ということです。

価格に悩んでいる企業の多くは、単に値付けに悩んでいるのではありません。

  • 誰に
  • 何を
  • どういう価値として
  • どの形で届けるのか

この整理が十分にできていないケースが少なくありません。

だからこそ、単価の見直しは「価格表の修正」ではなく、

👉 経営の整理そのもの

だと考えています。


■ 現在の考え方

現在は、

👉 「価値に対して適正な対価をいただく」

という考え方で仕事をしています。

顧問契約。 スポット支援。 セミナー。 補助金申請支援。

それぞれに対して、

👉 「どれだけ価値を提供できるか」

を基準に設計しています。

大切なのは、価格そのものではありません。

  • 何を求められているのか
  • どこまで伴走するのか
  • どの成果に責任を持つのか

ここを明確にすることです。


■ 振り返って思うこと

独立直後は、

👉 「仕事をもらう」意識

が強かったと思います。

しかし今は違います。

👉 「価値を提供する」意識

に変わりました。

この違いは非常に大きいです。

「仕事をもらう」と考えると、相手に合わせすぎてしまいます。

「価値を提供する」と考えると、何を渡すべきか、どう役立つべきかを軸に考えられます。

すると、

  • 提案の仕方
  • 関わり方
  • 価格の伝え方
  • 契約の考え方

すべてが変わってきます。

そして結果として、

👉 仕事の質も、関係性も、売上の意味も変わる

ようになりました。


■ まとめ

独立して学んだ最も大きなことの一つは、

👉 「売上は結果であり、原因は価値である」

ということです。

  • 安さではなく価値
  • 数ではなく質
  • 受け身ではなく主体

そして何より、

👉 「自分の価値をどう定義するか」

これが、すべての出発点になります。

価格に迷うときは、値段の問題に見えます。

しかし本当は、

  • 誰に役立つのか
  • 何を提供するのか
  • どう変化を生み出すのか

という問いに向き合っているのだと思います。


■ シリーズを読んでくださった方へ

3回にわたって、独立のリアルをお伝えしました。

  • 第1回:なぜ独立したのか
  • 第2回:独立直後のリアル
  • 第3回:価値と単価の考え方

独立は決して簡単ではありません。

しかし、

👉 行動すれば、必ず見えてくるものがあります。

そしてこれは、独立だけの話ではありません。

経営も同じです。

見えない課題は、行動しながらしか見えてきません。

価格の悩み。 売上の悩み。 強みの悩み。 事業の方向性の悩み。

それらは、頭の中だけでは整理しきれないことが多いものです。


■ 経営・事業のご相談について

このブログを読んで、

  • 売上や利益の改善をしたい
  • 自社の強みを整理したい
  • 価格設定や単価の考え方に悩んでいる
  • 補助金や事業計画について相談したい
  • 経営の方向性を一緒に整理してほしい

そう感じられた方は、ぜひ一度ご相談ください。

👉 「まだ整理できていない段階」でも大丈夫です。

また、単発の経営相談だけでなく、継続的な伴走支援や顧問契約にも対応しています。

もし記事を読んで、

「自社も同じ状態かもしれない」 「一度整理した方がいいかもしれない」

と感じられたら、その感覚は大切です。

👉 まずはお気軽にご相談ください。


✍️ この記事を書いた人

村田久(むらたひさし)
村田久中小企業診断士事務所 代表/中小企業診断士

約30年にわたり旅行会社に勤務し、法人営業・地域活性化・インバウンド・経営企画など多様な業務を経験。

2024年に独立し、熊本を拠点に中小企業の経営支援を行っている。観光・インバウンド・マーケティング・経営戦略・補助金申請を強みとする