独立直後のリアル|うまくいかないことの連続だった話
この記事は「中小企業診断士の独立リアル」シリーズの第2回です。
■ はじめに

前回は、なぜ独立したのか、その背景と理由をお伝えしました。
約30年勤めた旅行会社を離れ、2019年から副業として診断士活動を始め、約5年間の準備期間を経て2024年に完全独立しました。
そのまとめとして、
👉 「準備 × 行動 × 覚悟」
この3つが揃ったときに、独立は現実的な選択になる、とお伝えしました。
前回の記事はこちら。
では、実際に独立した後はどうだったのか。
今回はその「続き」です。
率直に言います。
👉 うまくいかないことの連続でした。
5年間の準備をしていても、です。
独立後のリアルを、包み隠さずお伝えします。
■ 独立したら仕事は来るのか?
結論から言うと、
👉 来ません。
これは多くの方が誤解しているポイントです。
「独立すれば、これまでの経験や実績を評価されて、自然と仕事が入ってくるのではないか」
そう思っていました。
旅行業界で約30年、法人営業から経営企画まで幅広い実績を積んできました。
副業期間にも補助金支援やセミナー登壇の経験を積んでいました。
それだけに、
「経験があれば、声はかかるだろう」
という気持ちが、どこかにありました。
しかし現実は全く違いました。
独立した瞬間から、
👉 「営業される側」から「営業する側」へ
立場が一気に変わります。
会社という看板がなくなった瞬間、自分の名前と実績だけが武器になります。
そしてその変化に、最初は全く対応できませんでした。
■ 最初に直面した3つの現実

独立直後に起きたことは、振り返るとシンプルな3つです。
- 営業の電話・メールが大量に来る
- よく分からないサービスに登録してしまう
- 思ったように仕事につながらない
一見すると些細なことのようですが、当時はかなり戸惑いました。
● 営業の電話・メールの多さに驚く
独立してまず驚いたのは、
👉 営業の連絡の多さでした。
「集客できます」 「案件紹介できます」 「登録すれば仕事が増えます」
こういった話が次々に来ます。
会社員時代にはほとんど経験しなかったことです。
最初は、
「こういうものを使えば仕事につながるのではないか」
と考えてしまいました。
完全独立直後は、判断の軸がまだ定まっていない時期です。
「使えるものは使った方がいい」という気持ちと、「本当にこれは必要か?」という疑問が入り混じり、冷静に判断できません。
副業期間に経験を積んでいても、完全独立という環境の変化は、想像以上に判断力に影響するものでした。
● よく分からないままサービスに登録
その結果、
👉 よく分からないサービスに登録してしまう
ということもありました。
今振り返ると、
- 本当に必要だったのか
- 自分のビジネスに合っていたのか
はかなり疑問です。
当時は、
👉 「何かやらないといけない」
という焦りの方が強く、冷静な判断ができていませんでした。
独立後の不安が、判断力を鈍らせていたのだと、今なら分かります。
● 「仕事が来ない」という現実
そして一番大きかったのは、
👉 思ったように仕事が来ないという現実です。
しばらくの間、
大きな変化は起きませんでした。
ホームページを作り、発信も少しずつ始めていましたが、
👉 問い合わせはほぼゼロ
この状況は、想像以上に不安になります。
「発信しているのに誰にも届かない」 「動いているのに何も変わらない」
という感覚は、副業期間とはまた違うものでした。
副業のときは会社員という安定した収入がありました。
しかし完全独立後は、仕事が来なければ収入がゼロという現実が、重くのしかかります。
■ 「このままで大丈夫か」という不安

独立直後は、
👉 「自由で楽しい」というイメージ
を持たれがちですが、実際はむしろ逆です。
- 本当にやっていけるのか
- この選択は正しかったのか
- 収入はどうなるのか
こうした不安が、常に頭の中にありました。
特に、
👉 「自分で決めた選択だから、誰のせいにもできない」
という状況は、想像以上にプレッシャーになります。
会社員時代は、うまくいかないことがあれば「環境のせい」「組織のせい」という逃げ場がありました。
しかし完全独立すると、すべての結果が自分の行動に直結します。
30年間、組織の中で動いてきた人間にとって、この感覚は決して小さなものではありませんでした。
しかし同時に、それは
👉 「自分の行動が直接結果につながる」
ということでもあります。
この事実に気づいたとき、不安は少しずつ行動の原動力に変わっていきました。
このままではいけないと感じ、
少しずつ行動を変えていきました。
■ 学んだこと|仕事は待つものではなく、取りに行くもの

こうした状況の中で、大きく学んだことがあります。
それは、
👉 「仕事は自分で取りに行くもの」
という当たり前の事実です。
● 待っていても何も起きない
会社員時代は、
- 上司から仕事が降りてくる
- 組織として案件がある
という前提がありました。
しかし完全独立すると、
👉 その前提が一切なくなります。
誰も仕事を持ってきてくれません。
問い合わせフォームに連絡が来るのを待っていても、最初のうちは何も起きません。
この当たり前の事実を、体で理解するのに少し時間がかかりました。
● 自分で動くしかない
そこで意識を変えました。
- 誰かが紹介してくれるのを待たない
- 自分で発信する
- 自分で動く
このシンプルな行動を徹底することにしました。
発信の内容も「専門的に見せる」よりも、
👉 「自分の経験と考えを正直に伝える」
方向に切り替えました。
旅行会社で30年培ってきた経験、副業期間に積み上げてきた支援実績。
飾るより、リアルな経験談の方が共感を生むと気づいたからです。
■ 仕事の入り口はどこか?
では、実際にどこから仕事が生まれたのか。
これは非常に重要なポイントです。
結果として、主に3つのルートがありました。
■① 公的機関からの依頼
最初に仕事につながったのは、
👉 公的機関からの依頼でした。
- 専門家派遣
- セミナー登壇
こうした機会は、
👉 実績が少ない時期でもチャンスがある
という特徴があります。
中小企業診断士という資格を持つことで一定の信頼性が担保されるため、民間よりも入りやすい側面があります。
また、
- 実務経験が積める
- 支援機関との信頼関係が生まれる
- 自分の強みが見えてくる
という意味でも非常に重要でした。
熊本を拠点に、商工会議所や商工会連合会といった支援機関との関係を築いていったことが、その後の活動基盤になっています。
■② 人からの紹介
次に大きかったのが、
👉 人からの紹介です。
- 先輩診断士
- 支援機関
ここで感じたのは、
👉 「人との関係が仕事を生む」
ということです。
スキルや知識だけではなく、
- 日頃の関わり方
- 誠実な対応
- 信頼の積み重ね
がそのまま仕事につながっていきます。
副業期間から関係を築いてきた方々が、完全独立後に紹介者になってくれるケースも多くありました。
👉 「人脈は独立前から作るもの」
これは今でも強く実感しています。
■③ セミナーからの導線
そしてもう一つが、
👉 セミナーからの導線です。
講師として登壇 → 個別相談 → 顧問契約
この流れは非常に重要でした。
セミナーは単なる情報提供ではなく、
👉 「自分を知ってもらう場」
でもあります。
旅行会社時代からセミナーや研修の経験を積んでいたことが、ここで活きてきました。
参加者の方々は、話の内容だけでなく話し方・姿勢・対応から「この人に相談したい」かどうかを感じ取っています。
だからこそ、
👉 「すごいことを言おう」ではなく「相手の課題に正直に向き合う」
ことを意識しました。
■ とにかく「全部やる」スタンスで動いた
当時のスタンスは、とにかくシンプルでした。
👉 「依頼が来たら全部やる」
● 未経験でも引き受ける
経験がない分野でも関係ありません。
- まず引き受ける
- その後に学ぶ
- そしてアウトプットする
このサイクルを回していきました。
旅行業界での30年は幅広い経験でしたが、中小企業診断士としての実務はまた別物です。
「完璧に準備できてから動く」では、いつまでも動き出せない。
「引き受けた責任を果たすために学ぶ」という順番の方が、圧倒的に成長が早いと感じました。
● 行動量でカバーする
最初から完璧にできることはありません。
だからこそ、
👉 行動量でカバーする
という考え方が重要でした。
1件の相談も、1回のセミナーも、最初はぎこちないものです。
しかし数をこなすことで、少しずつ自分のスタイルが見えてきます。
● 小さな実績を積み上げる
- 1件の相談
- 1回のセミナー
- 1つの支援
こうした小さな積み重ねが、少しずつ信頼につながっていきます。
大きな仕事は最初から来ません。
小さな仕事を丁寧にやり続けることが、
👉 やがて大きな信頼になる。
これは独立して最も実感した事実の一つです。
■ 振り返って思うこと
今振り返ると、完全独立直後の時期は決して順調ではありませんでした。
むしろ、
👉 うまくいかないことの連続
です。
5年間の準備をしていても、です。
しかし、この時期があったからこそ、
- 自分のスタンスが定まった
- 仕事の取り方が分かった
- 価値の出し方を考えられた
- 何のために働くかが明確になった
と思っています。
順調だったら気づかなかったことが、うまくいかない中でこそ見えてきます。
それは今も、クライアント企業の支援現場で感じることと、どこかリンクしています。
👉 「うまくいかない時期に何をするか」が、その後を決める。
これは独立だけでなく、経営にも同じことが言えると感じています。
■ まとめ

独立初期に重要なのは、
👉 「質より量 × スピード」
だと思います。
- 完璧を目指さない
- とにかく場数を踏む
- 行動量でカバーする
そして何より、
👉 「動き続けること」
これが一番重要です。
どれだけ準備しても、実際に動かなければ何も変わりません。
最初の一歩は小さくていい。 でも、止まらないことが大切です。
👉 次回は、独立してから「何を専門にするか」という問いに向き合った話を書きます。
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✍️ この記事を書いた人
村田久(むらたひさし) 村田久中小企業診断士事務所 代表/中小企業診断士
1995年に旅行会社に入社。法人営業・地域活性化・インバウンド・経営企画など多様な部門を歴任し、九州の経営企画責任者として経営全般を統括。約30年の会社員生活を経て2024年に完全独立。熊本を拠点に中小企業の経営支援を行っている。得意分野は観光・インバウンド・マーケティング・経営戦略・補助金申請。

