エネルギー価格・物価高騰時代を乗り越える!経営計画策定と補助金活用の実践ガイド
こんにちは、村田久中小企業診断士事務所の村田です。
先日、小規模事業者の皆様向けに「経営計画策定&補助金申請サポートセミナー」を開催させていただきました。
「物価が上がって経営が苦しい」 「人手不足で売上が伸ばせない」 「補助金を使いたいけど、申請書の書き方が分からない」
そんな切実な声を、日々たくさんの経営者の方からお聞きします。
この記事では、セミナーでお伝えした「変化の時代を乗り越える経営計画の立て方」と「小規模事業者持続化補助金の活用法」を詳しくご紹介します。

なぜ今、経営計画が必要なのか
激変する事業環境
2024年以降、小規模事業者を取り巻く環境は大きく変化しています:
- エネルギー価格の高騰 - 電気代、ガス代が2〜3割増
- 原材料費の上昇 - 食材、資材、部品の価格高騰
- 人手不足の深刻化 - 募集しても人が集まらない
- 最低賃金の上昇 - 人件費負担の増加
- 消費者の節約志向 - 値上げへの抵抗感
「このままでは事業が続けられない」
そんな危機感を抱いている経営者も少なくありません。

計画なき行動は「道なき山登り」
こんな時代だからこそ、「経営計画」が必要なのです。
計画を立てずに経営するのは、地図もコンパスも持たずに山に登るようなもの。
- どこに向かっているのか分からない
- 今どこにいるのか分からない
- 目的地まであとどれくらいか分からない
- 道に迷っても気づかない
経営計画は、変化の激しい時代を乗り越えるための「羅針盤(コンパス)」なのです。
経営計画は「登山計画」と同じ - コンパスの役割
セミナーでは、経営計画を「登山計画」に例えて説明しました。

登山計画に必要なこと
- 目的地の設定 - どの山に登るのか(どんな会社になりたいか)
- 現在地の確認 - どこからスタートするのか(今の経営状態)
- ルートの選定 - どの道を進むのか(具体的な施策)
- ペース管理 - 無理なく進めるスピード(売上・利益計画)
- 装備の準備 - 必要な道具・資金(設備投資・資金調達)
- リスク対策 - 悪天候への備え(資金繰り・トラブル対応)
経営計画の3つの役割
役割1:道迷いを防ぐ
「あれもやりたい、これもやりたい」と手を広げすぎて、結局どれも中途半端...
経営計画があれば、「今やるべきこと」に集中できます。
役割2:ペース管理ができる
無理なペースで進んで資金が尽きる、逆に慎重すぎてチャンスを逃す...
経営計画があれば、適切なペースで成長できます。
役割3:急な変化に対応できる
予想外の出来事(物価高騰、競合出店、スタッフ退職...)が起きても、
経営計画があれば、「計画と現実のズレ」を早期に発見し、軌道修正できます。
経営計画の作り方 - 5つのステップ
セミナーでは、参加者の皆様と一緒に、実際に経営計画を作成するワークを行いました。
STEP1:「何を・誰に・どうやって」を明確にする
まず最初に、自社の事業を整理します。
【何を】提供しているか?
- 商品? サービス? 体験?
- その商品・サービスの特徴は?
【誰に】提供しているか?
- メインのお客様は誰?
- 年齢層、性別、地域、職業は?
- どんな悩みや欲求を持っている?
【どうやって】提供しているか?
- 店舗販売? オンライン? 訪問?
- 他社と違うやり方は?
ワーク例
【飲食店の例】
何を:手作り和食ランチ・弁当
誰に:近隣の会社員(30〜50代)、高齢者
どうやって:店舗での提供+デリバリー
この3つが明確でないと、経営計画は始まりません。

STEP2:現状の課題を洗い出す
次に、現在抱えている課題をリストアップします。
課題チェックリスト
売上・集客面:
- □ 売上が伸びない、または減少している
- □ 新規顧客が獲得できない
- □ リピーターが増えない
- □ 客単価が低い
コスト面:
- □ 原材料費・仕入コストが上昇している
- □ 光熱費が高騰している
- □ 人件費の負担が重い
業務面:
- □ 人手が足りない
- □ スタッフの定着率が低い
- □ 業務効率が悪い
競合・市場面:
- □ 競合店が増えた
- □ 顧客ニーズの変化についていけない
- □ 差別化ができていない
セミナーでは、この中から「最も重要な課題」を3つ選んでもらいました。
全ての課題を一度に解決することはできません。優先順位をつけることが重要です。
STEP3:顧客ニーズと市場動向を分析する
課題の背景にある「顧客ニーズの変化」を理解します。
顧客ニーズの構造
【悩み・問題】
↓
【商品・サービス】
↓
【理想的な状態】
例:
飲食店の場合:
- 悩み:「忙しくて料理する時間がない」
- 商品:テイクアウト弁当
- 理想:「手軽においしい食事を取りたい」
製造業の場合:
- 悩み:「人手不足で生産が追いつかない」
- 商品:自動化設備・省力化ツール
- 理想:「少人数で効率よく生産したい」
市場動向の例
飲食業:
- 共働き世帯の増加 → テイクアウト・デリバリー需要増
- 高齢化 → やわらか食、少量メニューの需要増
- 健康志向 → 低糖質、減塩メニューの需要増
製造業:
- 人手不足の深刻化 → 省力化設備の需要増
- 環境意識の高まり → エコ素材、省エネ製品の需要増
- カスタマイゼーション → 多品種小ロット生産の需要増
市場の変化を理解することで、「何をすべきか」が見えてきます。
STEP4:自社の強みを発見する
課題やニーズが分かっても、自社に「強み」がなければ、お客様に選ばれません。
セミナーでは、「強みを発見する3つの質問」をご紹介しました。
強みを発見する3つの質問
質問1:お客様から褒められることは?
- 「おいしい」「丁寧」「早い」「親切」
- お客様の声やレビューを振り返る
質問2:競合他社と明らかに違うことは?
- 価格? 品質? サービス? 立地?
- 他社にできなくて、自社にできることは?
質問3:長年続けてこられた理由は?
- リピーターがいる理由
- 取引先が継続している理由
- スタッフが辞めない理由
差別化の事例
セミナーでは、有名企業の差別化事例も紹介しました。
ハーゲンダッツ:
- 高価格帯のアイスクリーム
- ターゲット:大人、自分へのご褒美
- 差別化:濃厚な味、高級感
チョコザップ(コンビニジム):
- 低価格、24時間営業
- ターゲット:手軽に運動したい人
- 差別化:着替え不要、短時間利用OK
「誰にでも好かれる」ではなく、「特定の人に強く支持される」ことが差別化の本質です。
STEP5:経営目標を設定する
最後に、具体的な目標を設定します。
定量目標(数値で測れる目標)
- 売上高:3年後に○○万円
- 粗利率:現在30% → 35%に改善
- 客数:月間○○人 → △△人に増加
- リピート率:40% → 60%に向上
定性目標(数値では測れない目標)
- 「地域で一番愛される○○店」
- 「従業員が誇りを持って働ける会社」
- 「環境に配慮した製品づくり」
売上目標の根拠づけ
売上目標は「希望」ではなく「根拠」で決めます。
売上 = 客数 × 単価 × リピート回数
現状:
- 客数:月100人
- 単価:3,000円
- リピート:年4回
- 売上:100人 × 3,000円 × 4回 × 12ヶ月 = 年間1,440万円
3年後目標:
- 客数:月130人(1.3倍)
- 単価:3,300円(1.1倍)
- リピート:年5回(1.25倍)
- 売上:130人 × 3,300円 × 5回 × 12ヶ月 = 年間2,574万円
どの要素をどう改善すれば目標達成できるか、具体的に見えてきます。
小規模事業者持続化補助金の基本
経営計画を立てたら、次は「実行」です。
しかし、新しい取り組みには資金が必要。そこで活用したいのが**「小規模事業者持続化補助金」**です。
補助金の概要(2025年度)
補助上限:
- 通常枠:50万円
- 特例適用で最大250万円まで上乗せ可能
補助率:
- 2/3(経費の2/3を補助)
対象者:
- 小規模事業者(製造業等:従業員20名以下、サービス業等:従業員5名以下)
申請スケジュール:
- 受付開始:2025年10月3日
- 申請締切:2025年11月28日
- 交付決定:2026年1月頃(予定)
特例による上乗せ
インボイス特例:+50万円
- 2021年9月30日〜2025年9月30日にインボイス発行事業者に登録した事業者
賃金引上げ特例:+150万円
- 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上にした事業者
例:通常枠50万円 + インボイス50万円 + 賃金引上げ150万円 = 最大250万円
採択率
一般型:51.1% 創業型:37.93%
約半数が採択される計算ですが、しっかりとした事業計画が必要です。
補助対象経費の例
- 機械装置等費(設備、機械)
- 広報費(チラシ、Web広告、看板)
- ウェブサイト関連費(ホームページ制作、ECサイト構築)
- 展示会等出展費
- 旅費
- 開発費
- 資料購入費
- 借料
- 設備処分費
- 委託・外注費
注意:ウェブサイト関連費は補助金交付申請額の1/4(25%)が上限
また、ウェブサイト関連費のみの申請は不可です。他の経費と組み合わせる必要があります。
補助金申請のポイントと注意点
申請の流れ
- 経営計画書の作成
- 補助事業計画書の作成
- 商工会議所・商工会での確認
- 申請書類の提出
- 審査
- 交付決定(採択)
- 事業実施(発注・支払)
- 実績報告書の提出
- 確定検査
- 補助金の振込
重要な注意点
注意点1:交付決定前の発注・契約は補助対象外
交付決定の通知が来る前に発注・契約した経費は補助金の対象になりません。
「採択されるだろう」と見込みで先に発注してしまうと、不採択の場合に全額自己負担になるリスクがあります。
注意点2:実績報告が必須
事業完了後、実績報告書を提出する必要があります。
報告内容:
- 領収書・請求書のコピー
- 実施内容の写真
- 効果の測定結果
報告内容に不備があると、補助金が減額または不交付になることもあります。
注意点3:事業は単年度で完結させる
補助事業は、交付決定から約1年以内に完了させる必要があります。
長期間かかる事業は対象外です。
業種別の実践事例 - 飲食業・製造業
セミナーでは、業種別の具体的な事例を紹介しました。
飲食業の事例
市場の変化とニーズ
市場変化:
- 共働き世帯の増加
- 高齢化の進展
- 健康志向の高まり
- コロナ後の「巣ごもり需要」継続
顧客ニーズ:
- テイクアウト・デリバリーの充実
- やわらか食、少量メニュー
- 低糖質、減塩メニュー
- 個室や半個室の需要
課題と取組
課題:
- ランチタイムの客数減少
- 新規顧客の獲得困難
- 客単価の伸び悩み
取組例:
- テイクアウト・デリバリー強化
- 専用メニューの開発
- デリバリーアプリへの登録
- テイクアウト専用窓口の設置
- 高齢者向けメニュー開発
- やわらか食メニュー
- 少量・多品目セット
- 宅配サービスの開始
- 健康メニューの訴求
- 低糖質・減塩メニューの開発
- カロリー表示の徹底
- SNSでの情報発信
期待効果:
- 新規顧客の獲得(テイクアウト・デリバリー利用者)
- 昼夜通しての売上確保
- 客単価アップ(健康メニューの高付加価値化)
製造業の事例
市場の変化とニーズ
市場変化:
- 人手不足の深刻化
- 環境規制の強化
- カスタマイゼーション需要の増加
- デジタル化の進展
顧客ニーズ:
- 省力化設備・自動化
- 環境対応製品・エコ素材
- 多品種小ロット対応
- 短納期対応
課題と取組
課題:
- 大口受注の減少
- 設備稼働率の低下
- 技術継承の困難
取組例:
- 多品種小ロット対応体制の構築
- 設備の汎用化
- 段取り替え時間の短縮
- 受注管理システムの導入
- 環境対応製品の開発
- エコ素材の採用
- 省エネ製造プロセスの確立
- リサイクル可能な設計
- デジタル技術の活用
- CAD/CAMシステムの導入
- 生産管理システムの刷新
- Web受注システムの構築
期待効果:
- 新規受注の獲得(小ロット案件)
- 環境対応評価の向上
- 生産効率の改善
採択される事業計画書の書き方
補助金申請で最も重要なのが「補助事業計画書」です。
事業計画書の構成
1. 経営計画(中期計画:3〜5年)
- 企業概要(事業内容、沿革、強み)
- 現状と課題
- 市場動向・顧客ニーズ
- 自社の強み・差別化ポイント
- 経営目標(3〜5年後の姿)
2. 補助事業計画(短期計画:1〜3年)
- 補助事業の内容
- 取り組む理由・必要性
- 具体的な実施方法
- スケジュール
- 経費明細
- 期待効果(売上・利益への影響)
採択される計画書の3つのポイント
ポイント1:課題→取組→効果の流れが明確
【課題】
ランチタイムの客数が減少(前年比20%減)
【取組】
テイクアウト・デリバリーメニューの開発と専用窓口の設置
【効果】
・新規顧客(テイクアウト利用者)月30人増加
・ランチ売上 月30万円増加(年間360万円増)
「なぜやるのか」「何をするのか」「どうなるのか」が論理的につながっていることが重要です。
ポイント2:数値で効果を示す
「売上が増える」ではなく、 「月間売上30万円増加(現状100万円→130万円)」
「客が増える」ではなく、 「新規顧客月30人獲得(現状客数100人→130人)」
具体的な数値で示すことで、説得力が増します。
ポイント3:実現可能性が高い
あまりに大胆すぎる計画や、実現性が疑わしい計画は採択されにくくなります。
根拠のある、現実的な計画を立てることが重要です。
例:
- 類似事例の成功実績
- 事前の市場調査結果
- 既存顧客からの要望
これらを根拠として示すと、説得力が高まります。
今日から始める経営計画策定
セミナーの最後に、参加者の皆様にお伝えしたことがあります。
経営計画は「完璧」を目指さなくていい
「立派な計画書を作らなければ」 「専門家のような分析をしなければ」
そう思って、結局何も始められない...これが一番もったいないことです。
経営計画は「作ること」が目的ではなく、「使うこと」が目的です。
最初は簡単なものでOK。実際に使いながら、少しずつ改善していけばいいのです。
まずは「1枚の紙」に書き出す
A4用紙1枚に、以下を書き出してみましょう:
- 現状(今の売上、課題)
- 目標(3年後にどうなりたいか)
- やること(今年やるべきこと3つ)
- 数値目標(売上、客数など)
これだけでも、立派な経営計画の第一歩です。
「登山ガイド」を活用する
一人で計画を作るのが難しい場合は、専門家の力を借りましょう。
- 商工会・商工会議所の経営指導員
- 中小企業診断士などの専門家
- 税理士・会計士
私たち専門家は、経営計画策定の「登山ガイド」のような存在です。
- 道に迷わないようにサポート
- 危険な場所を事前に教える
- ペース配分をアドバイス
- 適切な装備(資金調達)の提案
一人で悩まず、ぜひ相談してください。
エネルギー価格・物価高騰時代を乗り越えるために
物価高騰、人手不足、エネルギー価格の上昇...
小規模事業者を取り巻く環境は、確かに厳しいものがあります。
しかし、ピンチはチャンスでもあります。
変化の時代は「差別化」のチャンス
環境が変化する時、全ての事業者が同じように影響を受けるわけではありません。
- 変化に対応できた事業者は成長する
- 変化を無視した事業者は衰退する
経営計画を立て、具体的な行動を起こすことで、あなたの事業は「成長する側」に回れます。
補助金は「背中を押してくれる存在」
小規模事業者持続化補助金は、最大250万円(2/3補助)という大きな支援です。
「やりたいけど資金が...」という取り組みの背中を押してくれる、心強い存在です。
2025年11月28日が申請締切です。
今から準備すれば、十分に間に合います。
私がお手伝いできること
「経営計画を作りたいけど、何から始めればいいか分からない」 「補助金申請書の書き方を教えてほしい」 「自社の強みがよく分からない」 「採択される事業計画書を一緒に作ってほしい」
そんなご要望がありましたら、ぜひご相談ください。
私、村田久は、JTBで経営企画責任者を経験し、現在は中小企業診断士として年間30回以上のセミナー講師と25社以上の個別支援を行っています。
補助金申請支援は延べ60件以上の実績があります。
支援内容の例
- 経営計画策定支援
- 小規模事業者持続化補助金申請サポート
- 事業計画書の作成・添削
- 強み・差別化ポイントの発見
- 売上・利益計画の策定
- その他補助金(ものづくり補助金、事業再構築補助金など)の申請支援
まずはお気軽にご相談ください
初回相談は無料です。
WEBサイト:https://q-zconsul.com/
お問い合わせフォームから、お気軽にご連絡ください。
「ブログ記事を読んだ」とお伝えいただければ、よりスムーズにお話しできます。
申請締切(2025年11月28日)まで、あと○日です。
今すぐ行動を始めましょう!
一緒に、変化の時代を乗り越え、成長する事業を作りましょう!
村田久中小企業診断士事務所 代表 村田 久
【専門家登録】 熊本県商工会連合会 / 熊本商工会議所 / 熊本県信用保証協会 / 熊本県事業承継・引継ぎセンター / 中小機構 経営アドバイザー
【補助金申請支援実績】 ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、事業再構築補助金など延べ60件以上

