社員のやる気を高める人事考課制度(≠人事評価制度)について
日頃から様々な事業者様をご支援していると、業種業界は異なるものの、直面されている問題やお悩みは共通していることに気づきます。
共通するのは以下のような内容です。
- お金に関するお困りごと(売上・コスト・資金繰りなど)
- 人間関係に関するお困りごと(社員のモチベーション低下・採用・離職など)
- 販路開拓に関するお困りごと(情報発信・販売促進など)
この中でも会社に大きな影響を与えるのが「人間関係」に関するお困りごとです。
特に社員のモチベーション低下・離職数の増加は、人が基盤となる中小企業にとって、死活問題であると言えます。

以前の記事にも記載いたしましたが、こういった人間関係の問題は明確な人事考課制度がないことに起因することが多いのですが、
それだけでなく、
「うちには人事評価制度がある」
「人事評価は行なっているが効果が出ない」
といった、すでに人事評価を取り入れているが、期待した効果が発揮できていないケースが、かなりあります。
今回は、すでに導入している人事評価がなぜ活用できていないのか、あるべき人事考課制度とは、についてご説明します。
なぜ「人事評価はあるのに、うまくいかない」のか
人事評価制度を導入している会社でも、次のような状態になっているケースが多く見られます。
- 評価が「給与を決めるための点数付け」になっている(=結果の通知で終わる)
- 評価基準が抽象的で、上司ごとに解釈がブレる
- 面談が年1回の儀式になり、普段の育成・対話につながっていない
- 社員側が「どうせ社長(上司)の気分で決まる」と受け止めている
この状態だと、社員にとって評価は「伸びるための材料」ではなく、“裁かれるイベント”になりやすく、モチベーション向上にはつながりにくくなります。



まず用語を整理します:一般的な使われ方と本記事の定義
実務の現場では、「人事考課」と「人事評価」は同じ意味で使われることも多く、厳密に線引きされない場合があります。
一方で、中小企業の現場課題(離職・育成・納得感)を解くには、あえて役割を分けて設計するほうがわかりやすく、運用もしやすいです。
そこで本記事では、次のように定義して話を進めます。
人事評価制度とは(=「決める」仕組み)
- 誰を、どんな基準で評価し
- 給与・賞与・昇給・昇格・配置などの処遇を決めるルール
(会社としての公平性・説明責任の土台)
人事考課制度とは(=「伸ばす」仕組み)
- 考課面談(フィードバック面談)などを通じて
- 会社と社員が課題を一緒に言語化し、次の行動を決める仕組み
(納得感・成長実感・モチベーションを生むための土台)
ポイントはこれです。
人事評価=“人が人を評価する”制度
人事考課=“対話で育てる”制度(面談運用込み)

「評価」だけだと、モチベーションが上がりにくい理由
評価制度が悪いわけではありません。
ただ、評価制度“だけ”で運用すると、構造的に次の問題が起こりやすいのです。
1) 評価は“過去の採点”になりやすい
評価はどうしても「結果」中心になります。
すると社員は、面談の場で未来の話(どう伸びるか)よりも、過去の点数に意識が向きます。
2) 社員が求めているのは「点数」より「成長の道筋」
特に若手ほど、「何を頑張ればいいか」「どう成長できるか」「将来どうなれるか」を重視します。
そこが見えないと、給与が上がっても離職の芽が残ります。

3) 中小企業ほど「納得感」が経営に直結する
社員数が少ないほど、たった一人の不満が現場の空気を変えます。
納得感が薄い評価は、離職だけでなく、無気力化・対立・陰口など、見えにくい損失も生みます。
だからこそ、評価(決める)を、考課(伸ばす)で“活かす”必要があります。
人事考課制度を入れると、何が変わるのか(中小企業に効く3つ)

1) 社員が辞めにくくなる(納得感が上がる)
評価の高低よりも、「なぜそうなったか」「次はどうすればよいか」が腹落ちすると、人は踏みとどまれます。
2) 上司が育成できるようになる(指導が属人化しない)
“上司のセンス”に依存していた指導が、面談の型と評価基準で整います。
結果として、現場リーダーの負担も減ります。
3) 採用にも強くなる(説明できる会社になる)
「評価はこうで、面談はこうして、成長はこう支援する」
これを言える会社は、求人市場で強いです。特に熊本でも人手不足が続く中、ここは大きな差になります。
人事考課制度の構築が“必要”な会社のサイン(チェックリスト)
次のうち、3つ以上当てはまるなら、制度の見直しが効果的です。
- 評価に不満が出ている/評価の理由を説明できない
- 退職理由が「人間関係」「評価」「将来が見えない」
- 上司が部下指導に自信がない(面談が苦手)
- 目標が形だけで、行動に落ちていない
- 「頑張れ」「もっと主体性を」など抽象的な指示が多い
- 社長が現場の頑張りを把握しきれない
- 昇格・昇進の基準が曖昧(※以前のご相談でもよく出る論点です)
よくある質問(熊本の中小企業から特に多いもの)
Q. うちは人事評価制度があります。それでも人事考課制度は必要?
必要になるケースが多いです。
理由は単純で、評価は「決める」ことが中心になりやすく、育成とモチベーションは「運用(面談)」が中心だからです。
評価制度があっても、面談が機能していないと効果が出ません。
Q. 何人くらいの会社から導入すべき?
目安は「社長が全員を日常的に見切れなくなった」タイミングです。
体感としては、5〜10名を超える頃から、評価・不満・育成が一気に難しくなります。
Q. 制度を入れると、逆に揉めませんか?
揉める原因の多くは「曖昧さ」です。
項目を絞り、段階定義を文章化し、面談を型化すると、むしろ揉めにくくなります。
まとめ:人事考課制度は「社員のやる気」を経営の力に変える仕組み
- 人事評価制度は、処遇を決めるために必要
- ただし、評価だけではモチベーションは上がりにくい
- 人事考課制度(面談運用込み)で、社員の課題と成長を“対話”で支える
- 結果として、定着・育成・採用・業績に効いてくる

熊本で「人事評価制度・人事考課制度」を見直したい方へ(初回無料相談)
「制度はあるが形骸化している」
「評価で揉める」
「社員が辞める/やる気が続かない」
「管理職が育たない」
こうしたお悩みがある場合、制度そのものより“運用の設計”を整えるだけで、改善することが多いです。
制度をゼロから作り直す必要はありません。
今ある人事評価制度を“活かす”形で、人事考課(面談と運用)の設計を整え、考課者研修を行うことで改善するケースが多いです。
当事務所では、熊本の中小企業様を対象に、初回無料で
- 現状の評価制度の“詰まりどころ”の整理
- 評価基準のブレ/納得感が下がる原因の特定
- 人事考課制度として整えるべき論点の優先順位付け
を行っています。
ご相談の際は、お問い合わせフォームから
「人事評価制度/人事考課制度の相談希望」 とご記載ください。
(オンライン対応も可能です)

