「2024年3月の訪日外国人客300万人超え」と都市部から熊本・地域への分散化対応

「2024年3月の訪日外国人客300万人超え」と都市部から熊本・地域への分散化対応

2024年4月18日の熊本日日新聞一面、および新聞各紙に「3月訪日客300万人超 単月で過去最多」の記事が掲載されました。

コロナ禍前の2019年7月の299万人を上回り、単月で初めて300万人を突破、過去最多となるとともに、消費額も1月〜3月で1兆7505億円に上り、四半期ベースで過去最高を記録したそうです。

円安の影響が大きく、さらに桜の開花やキリスト教のイースター休暇などの影響もあると見られています。

前回の記事にも記載した通り、政府の「明日の日本を支える観光ビジョン」や「観光立国推進基本計画」の目標である2030年訪日外国人数6000万人、消費額15兆円の達成に向けて、着実に進んでいるように見えます。

一方で、記事の中では、「オーバーツーリズムによる観光公害の懸念」「都市部への集中」「地方での消費伸び悩み」ということも取り上げられています。

東京の訪日外国人消費額は熊本県の82倍

直近の消費額はまだ集計されていませんので、2023年4月〜12月期の旅行消費額(レジャー目的)を見ると東京の1兆1268億に対して、熊本県は138億円にとどまります。

なんと東京は熊本の82倍の規模です。

出典:観光庁 訪日外国人消費動向調査2023年4月-12月期

そのほか、大阪(6306億円)・京都(2669億円)・福岡(1933億円)・北海道(1456億円)・千葉(947億円)・沖縄(801億円)などが続きます。

東京・大阪・京都の消費額が全国の7割を占めており、やはり、新聞記事の通り、都市部への集中が顕著となっていることがわかります。

参考までに、2019年の消費額を見てみると、東京・大阪・京都で全国の6割を占めていました。

コロナ禍を経て、抑制されていた消費意欲が旺盛だったことや、都市部に高級ホテルが開業していることなどもあり、都市部への集中がより顕著になっているとみられます。

政府としても、都市部と地方の格差を課題と認識しており、「訪日客の地方分散」を進めているものの、日本での滞在先は、お客様が選ぶものであり、我々が「地方もいいですよ!ぜひ来てください!」と言ったとしても、すぐに効果を出すことは難しいでしょう。

我々がヨーロッパ周遊に行く時、ロンドン・パリ・ローマに必ず訪れるのと一緒です。

日本人が3大都市以外の都市に行くようになるまで、かなりの期間を要したと思います。

集客と受入体制整備の両方が不可欠

訪日インバウンドへ取り組むためには、集客と受け入れ体制整備の両方が必要となります。

集客とは

集客は一言で表すと呼び込みのための施策。自エリアに来てもらうために、インターネットやSNS、広告、口コミ、旅行博、旅行会社などを通じて、外国人にさまざまな情報を届けることを指します。

受け入れは、実際に来てくれた人に対する施策で、”おもてなし”のための環境整備とも言い換えることができます。

村山慶輔著 「インバウンド対応実践講座」

そもそも、自エリアの情報が訪日外国人に届かなければ、訪問してもらえませんし、せっかく訪問してもらったとしても、対応が十分でなければ、がっかりさせてしまい、SNSや口コミサイトなどで、マイナスのイメージを発信されることになります。

集客は一事業者だけの「点」の取り組みでは限界があり、県や市町村などエリア単位での情報発信や誘客が重要ですので、熊本は地方の中でも、TSMCなどの効果もあり、比較的集客が進んでいる地域と言えるかと思います。

受け入れ体制の整備とは

そのような中、受け入れ体制整備の面で、気になる記事が目に入りました。

「市電 外国語対応に苦慮」

菊陽町への台湾積体電路製造(TSMC)進出を機に、熊本市を訪れる外国人観光客の増加が見込まれる中、市交通局が市電利用者の多言語対応に苦慮している。「日本語のアナウンスで外国人は困惑しているようだ」。旅行客を見守る熊本の利用客からはこんな声も。

熊本日日新聞朝刊2024年4月18日

「この電車は水前寺公園には行きません」

新水前寺駅前電停が終点となる車両内で、運転士と水前寺公園に行きたい外国人とのやりとりが日々行われており、日本語での案内に外国人が理解できない状況が発生しているようです。

熊本観光の交通手段は市電と路線バスがあるものの、海外と同じく路線バスは外国人にハードルが高いため、市電を利用する外国人が多いと思われます。

我々には当たり前の「交通局行き」「新水前寺駅前行き」「健軍行き」などの違いが、外国人にはわかりづらいんですね。

急激に外国人が増える中で、対応が追いつかないのは当然ですが、できるだけ早く、外国人目線でアナウンスや多言語表記を進めていただきたいと思います。

訪日外国人の増加に向けた取り組み

集客と受け入れ体制の両方の整備とは、具体的には以下のようなことです。

ターゲットの明確化から、食事・ショッピングといった基本的な受入体制の整備、新たなアクティビティの創出(コト消費)を先行的に行なうと共に、ターゲットに向けた情報発信を両輪で進めることで、滞在日数の拡大を図る、という流れを高速で繰り返すことが必要だと考えます。

そして、この流れを円滑に進めることができる、人材の育成も不可欠となります。

この辺りは次回まとめたいと思います。

まとめ〜今後増加する訪日外国人の受入体制整備の早期実施を

宿泊事業者や観光関連事業者においては、すでに受入体制の整備に取り組んでいる方も多いと思います。

しかし、観光は一事業者のみで完結するものではなく、飲食業や小売業など、さまざまな事業に波及します。

今後、政府の方針と相まって、急激に地方への誘客が進むことが想定されるため、訪日外国人の滞在における満足度を向上させるためには、熊本県全体での取り組みが必要となります。

現時点で、外国人の取り扱いが少ない事業者でも、多言語での表記や免税対応など、可能な範囲で対応を進めておくと、訪日外国人から選ばれる可能性も生じます。

まずは、できることから初めてみてはいかがでしょうか。

小規模事業者における訪日インバウンド対応について、お考えになっている方は、ぜひ一度ご相談ください。

私がこの記事を書きました

村田久

「村田久中小企業診断士事務所」の代表として、訪日インバウンド・観光事業・新規事業支援、事業承継支援、補助金申請書作成支援などを行うとともに、中小機構の経営アドバイザーとしても活動中。熊本市在住。 趣味はアウトドア。最近はテントサウナを県内各地で楽しんでいる。

トップへ