- 2024年5月9日
熊本県は全国31位!訪日外国人・インバウンドの消費単価の現状と対策について
前回の記事『「2024年3月の訪日外国人客300万人超え」と都市部から熊本・地域への分散化対応』の中で、熊本県全体での受……
2023年の訪日外国人旅行客数が2506万人となり、コロナ禍前で最も訪日外国人数が多かった2019年の8割に達しました。
さらに、訪日外国人旅行消費額は約5.3兆円となり、過去最高となっています。
日本政府は2016年の「明日の日本を支える観光ビジョン」の中で、2030年の目標として、訪日外国人旅行者数を6000万人、消費額を15兆円と掲げていることもあり、今後更なる市場の拡大が見込まれます。
そのような中、熊本県において直近の訪日外国人・インバウンドの動向はどうなっているのでしょうか。
観光庁のデータよりまとめてみました。
実は、2023年の熊本県の訪日外国人宿泊数は96万人泊となり、2019年の93万人を超え、19年比102.8%となっています!
九州では福岡(111.1%)、大分(106.1%)に続いて、3番目に高い数値となりました。
また、全国では19年比98.8%、東京・大阪・京都を除く地方では72.8%にとどまっていることからも、熊本県が他県よりも訪日外国人に選ばれていることがわかります。
熊本県のトピックスといえば、台湾の半導体メーカーTSMCの工場建設があげられます。この要素は大きく影響していそうです。
とはいえ、2018年の101万人には届いていません。
これは、以下の通り、2023年の年初にはコロナの影響が残っていたことにより、年間を通じて安定的に外国人が宿泊していた2018年には届かなかったためと考えられます。
この数値は、あくまで訪日外国人の延べ宿泊数であり、訪日外国人旅客数ではないのですが、宿泊数が拡大すると消費額も向上するため、経済的にみても重要な指標と考えています。
訪日外国人旅客数は、他の指標と組み合わせて、今後算出したいと考えています。
それでは、国別に熊本県の訪日外国人・インバウンドの動向を見ていきます。
国別の訪日外国人宿泊数は従業員10名以上の施設しかデータがありませんので、合計数値は先ほどの96万人泊ではなく、80万人泊になってしまい、合計が19年より少なくなってしまいます。
そのため、ここでは国別の宿泊数構成比を比較したいと思います。
熊本県の訪日外国人宿泊数(従業員10名以上の施設)における国別の19年と23年の構成比を比較すると、中国が15%から7%へ大きく構成比を落としている中、韓国(29%→31%)、台湾(24%→29%)の構成比が拡大しています。
国別の推移を月別に見てみると、韓国は需要の上下が激しく、台湾は一定の右肩上がりで推移しています。
やはりTSMCの稼働に伴い、台湾からの訪問者数が増えているとともに、宿泊数も伸びていると見られます。
また、12月から定期便が就航した香港も徐々に拡大していることが見て取れます。
九州(福岡除く)と広島を加えた7県で比較してみても、熊本県における台湾の伸びは顕著になっています。
ここまで熊本県の訪日外国人・インバウンドの動向を見てきました。
データを見なくてもわかる!と言われそうですが、数値から見ても、TSMCの工場稼働に伴い、熊本県の訪日インバウンドに占める台湾からのお客様の重要度はかなり高まっているといえます。
一方、政府が2023年に閣議決定した「観光立国推進基本計画」の中で、『持続可能な観光』『消費額拡大』『地方誘客促進』の3つをキーワードとして、持続可能な観光地域づくり、インバウンド回復、国内交流拡大の戦略に取り組むこととなっています。
熊本県においては、台湾からのお客様増加というチャンスを活かした上で、将来に向けて多様な国々からのお客様から選ばれるような地域づくり・コンテンツづくり・商品づくりが必要になると考えます。
当事務所にも、インバウンド誘客に関わるご相談が増えています。
ぜひ、この機会に成長戦略として、訪日外国人・インバウンドへの取り組みをご検討されてはいかがでしょうか。
お気軽にお問い合わせください。よろしくお願いいたします。
「村田久中小企業診断士事務所」の代表として、訪日インバウンド・観光事業・新規事業支援、事業承継支援、補助金申請書作成支援などを行うとともに、中小機構の経営アドバイザーとしても活動中。熊本市在住。 趣味はアウトドア。最近はテントサウナを県内各地で楽しんでいる。