こんにちは。中小企業診断士の村田久(むらたひさし)です。
新型コロナウイルスによる影響からのV字回復を目的として、事業再構築補助金をはじめとした、さまざまな補助金が設定されています。
私もここ5年間で約60件の申請書作成支援をさせていただきました。
その中で、感じたことを「超初心者」の事業者さん向けに書かせていただきます。
ぜひ、ご参考いただいた上で、ご自身の事業内容を鑑みた上で専門家の活用もご検討ください。
この記事はこういった方におすすめ
- 自分で補助金の申請書を作成したが、なかなか採択されない
- 自分の事業に補助金が使えると思うが、どのように申請して良いかわからない
ポイント1:思いは大事!でも「公募要領」が一番大事!
先日、知り合いの事業者さんの補助金申請をお手伝いしました。
自分で申請書を作成し申請したものの、2回ほど不採択になってしまい、「次もダメだったらどうしよう・・・」とものすごく落ち込んだ、とのことでした。
確かに、自分の「思い」を詰め込んで、時間をかけて作成した申請書が不採択になると、自分の考えを否定されたように感じてしまいます。
少しでも力になれればと考え、作成された申請書を拝見したところ、子育ての悩みを抱えている方々を対象とした支援事業で、とても事業者さんの思いが込められた申請書になっていました。
でも、公募要領と照らし合わせて項目を確認してみると、公募要領で求められている「ポイント」に、しっかり応えきれていない部分もありました。
公募要領は初見ではわかりづらい・・・
とはいえ、WEBに記載されている補助金の公募要領は、初見では何を書いてあるのか、何が求められているのか、非常にわかりづらいことこの上ないです。。。
一文一文は、きちんと理解すれば難しくない文章なのですが、それが55ページも続くと、最初の方に読んだことは頭から抜けてしまいます。
そんなこともあってか、事業再構築補助金では、「概要」や「動画」などでかなりわかりやすく説明されていますが、最後は詳細を公募要領で確認する必要があります。
特に重要なポイントは「審査項目」
特に選考における重要なポイントとなる「審査項目」「審査・選考」「加点」については、よく読み込む必要があります。
その記載内容に「キーワード」が含まれています。
したがって、公募要領の「審査項目」に記載されている「キーワード」そのものを取り入れながら、申請書を作成することは絶対条件となります。
先ほどの事業者さんの事例は、「審査項目」で求められている内容に沿っていなかった部分がありましたので、審査時の点数が獲得できなかった可能性があると考えられます。
ポイント2:「事業」の計画が表現されているか
今回、確認させていただいた、事業者さん作成の計画書は、読んでいるだけで、子育て中の方々の切実な悩みとそれを助けたいという思いが滲み出てきて、とても心が揺さぶられたのですが・・・
「これって本当に事業化できますか?」
「これって対象となる市場規模はどれくらいなのでしょうか?」
「これってお客様をどうやって確保し、拡大していくのでしょうか?」
こういった事業面の問いに対して、申請書の中では十分に回答できていませんでした。
採択と事業成功には「思い」と「事業戦略」が必要
思いは非常に大事です。思いがなければ事業は成り立ちません。
一方で、思いだけでも事業は成功しません。
新規事業の事業化を図るためには、お客様を獲得し、売上を上げ、利益を確保し、事業を継続する必要があります。加えて、仕入れ先やビジネスに関係する企業などとの連携も考慮しなければなりません(ビジネスモデル)。
そして、そのためには、対象となる市場規模が一定以上存在することを示した上で、その市場の中で、どのくらいのシェアを確保して行くかを、明確にすることも必要です(対象市場の分析)。
この「ビジネスモデル」と「対象市場の分析」をまとめたものが「事業戦略」であり、さらに公募要領にそって構築したものが申請書となります。
ビジネスモデルの整理におすすめのフレームワーク「ビジネスモデルキャンバス」
私が補助金申請のお手伝いをするときに、事業者さんとビジネスモデルの整理に使っているのは、こちらの「ビジネスモデルキャンバス」です。
フレームワーク自体の細かい説明は次回以降に詳細化したいと思いますが、ビジネスの全体像を俯瞰的に整理でき、「対象となる顧客」や「どうやって収益を確保するか」などの棚卸しと共有化が、抜け漏れなくできるので重宝しています。
結果的に、先ほどの事業者さんは、ポイント1・2に沿った修正を行うことで、3回目の申請で無事採択されました。
まとめ:貴重な資源(=時間)を有効活用するために専門家の活用を!
ここまで、補助金申請に関して、実際にお客様と接していて感じたポイントについてまとめました。
特に感じるのは「専門家ならすぐ勘所がわかるのに、それがわからず時間をかけて、ちょっとポイントがずれている申請書を作成している事業者さんが多い」ことです。
補助金の申請は、事業者さんが実施する事業の目的に合わせて、事業者さん自身が計画書を作成し、申請書に落とし込んで自ら申請することが、不可欠だと思います。
ただ、めちゃめちゃ忙しい経営者の方々が、とても分かりづらい公募要領を読み込んで、ポイントを押さえた申請書を作成するのは、至難の業です。
さらに不採択になってしまうと、貴重な時間という経営資源が浪費されてしまう事態にもなりかねません。
そういったリスクを低減し、補助金の採択率を少しでも高めるために、ぜひ、専門家へのご相談をおすすめします!
公的機関をご利用いただけば、無料でご相談いただけますので、ぜひご活用ください。
熊本の経営相談ができる機関
熊本で経営相談ができる公的機関を以下の通りご紹介いたします。
初回相談は無料、その後の相談も無料の場合が多いです(支援機関・内容により直接ご確認ください)
熊本以外でも同様の拠点はあると思いますので、ぜひ地元の支援機関をご活用ください!
支援機関名 | 概要 | 電話番号 |
熊本商工会議所(県内各地にあり) | 経営相談や技術支援、情報の提供など。専門的なご相談には、当所登録の弁護士、弁理士、中小企業診断士、税理士、司法書士などが無料でご相談に応じます | 096-354-6688 |
熊本県よろず支援拠点 | 経済産業省・中小企業庁が設置する経営相談所。コーディネーターを中心とする専門スタッフが経営上のあらゆる悩みの相談に対応します | 096-286-3355 |
XOSS POINT(クロスポイント) | 従来の経営相談や創業支援に加えて、新たな市場を開拓し飛躍的な成長を目指す起業家等の発掘・育成に取り組む熊本市初のスタートアップ支援施設です | 096-355-7402 |
今回の記事が少しでも皆様のお役に立てば嬉しいです。
それでは!中小企業診断士の村田久でした!
私がこの記事を書きました
村田久
「村田久中小企業診断士事務所」の代表として、訪日インバウンド・観光事業・新規事業支援、事業承継支援、補助金申請書作成支援などを行うとともに、中小機構の経営アドバイザーとしても活動中。熊本市在住。 趣味はアウトドア。最近はテントサウナを県内各地で楽しんでいる。